福岡での就業規則からマナー研修、経営計画までサポート。KS人事研究所

福岡の人事制度・評価制度・人材育成・人材活用のことならおまかせ下さい。 株式会社KS人事研究所

懐は統計よりも温かい?働き手増え平均賃金を抑制

(日経新聞 2014年8月18日)
 
 消費増税から5カ月近くがたち、個人消費の行方を握る労働者の賃金に注目が集まる。その指標は「雇用者報酬」が1年前より1.3%増え、一方で「実質賃金」は3.8%減ったという。難しい統計用語が並び、その方向感もみえにくい。もう少し統計を深掘りすると、賃金の伸びは指標よりやや強く、消費増にはその持続力が必要なことがみえてくる。
 賃金をみる指標の一つは労働者の1人あたり賃金だ。基本給である1人あたりの「所定内給与」は6月に速報ベースで前年同月比0.3%増と、2年3カ月ぶりにプラスに転じた。残業代なども含む「現金給与総額」は0.4%増え、4カ月続けて前年を上回った。
 個人消費全体の先行きをみる上で重要なのは、働く人すべての賃金総額だ。国内総生産(GDP)統計によると「名目雇用者報酬」は4~6月に前年同期比1.3%増え、1人当たり賃金よりも伸びが高い。
 例えば専業主婦が仕事に就くと、他の人の賃金は変わらなくても、働く人が増えるので労働者全員の賃金総額は増える。6月の雇用者数は前年に比べ46万人増。1人あたりの名目賃金と労働者数(パート労働者を含む)をかけあわせた「雇用者所得」は83兆2154億円と、リーマン・ショック前の2008年1~6月以来の水準に戻った。
 実はこうした動きは「1人あたり賃金」の伸びを抑えてしまう。雇用増に占めるパートやアルバイトの比率が高く、平均賃金自体はあまり高くないためだ。雇用者が増えた「医療・福祉」でみると年間平均給与は378万円。472万円の製造業と比べて少なく、1人当たりの平均賃金はむしろ下がりやすい。
 実際、全労働者の現金給与総額は4カ月連続増にとどまるが、正社員中心の「一般労働者」でみると10カ月連続で増えている。正社員の給与増に加えて新たに働き始めた主婦らも増えているため、家計をみる上で重要な世帯当たりの収入でみると、もう少し伸びている可能性がある。
 問題は消費税率が8%に上がり、物価上昇率が賃金の伸びを上回っていることだ。6月の消費者物価指数は増税分も含めて前年同月比3.6%上がった。物価上昇を差し引いた1人当たりの賃金を「実質賃金」と呼ぶが、6月(速報ベース)は同3.8%減。給料明細の額は増えたのに買い物をする力は減ったことを数字上は意味する。
 増税前の駆け込み需要の反動もあり、4~6月期の個人消費は前期比5.0%減と落ち込んだ。ただメリルリンチ日本証券の吉川雅幸チーフエコノミストは「雇用者の伸びなどを考えると、消費者全体の購買力は実質賃金ほどは落ちていない。15年度も所得の伸びが続けば、再び消費増税をしても全体の購買力は増加に転じる」とはじく。
 4~6月期の企業収益はまずまず。消費が持ち直すには、賃金が増税分を上回るよう持続的に上昇することが重要だ。来年4月になれば増税による物価上昇の影響は統計上はゼロになる。政府は賃上げの継続を産業界に求めるため、政労使会議を今秋に再開し、消費回復へ手綱を強める。
copyright(C) 2010 川庄公認会計士事務所 All Rights Reserved.