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労働時間規制を緩和 高度専門職 働き方を柔軟に 

(日経新聞 2014年5月29日)
 政府は28日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、専門職を中心に週40時間を基本とする労働時間規制を外す方針を決めた。首相は「労働時間制度の新たな選択肢を示す」と述べ、働いた時間ではなく成果に給与を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入する。ただ厚生労働省内にはごく一部の高収入者に対象を限る意見があり、産業界と溝がある。企業の生産性を高めるには対象範囲を広げる制度設計がカギを握る。
 労働規制の緩和は6月に政府がまとめる成長戦略の柱となる。企業の生産性を高める日本の労働法制の見直しは、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成否を占うとして海外投資家らが注目する。政府は厚労相の諮問機関である労働政策審議会で、具体的な対象者などを来年初めに定め、2016年春にも実施したい考えだ。
 首相は働く人の労働時間規制を外すホワイトカラー・エグゼンプションの対象を(1)職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材(2)希望しない人には適用しない(3)働き方の選択によって賃金が減らないようにする――と言及した。働く人の不安や反発を抑える狙いだ。
 日本では労働時間規制が外れるのは課長級以上の管理職だけだ。一般の社員は1日8時間を超えて働けば残業代が支給され「同じ仕事を短時間ですませる人より、時間をかけた方が給料が増える」といわれてきた。
 管理職以外も労働時間規制を外すホワイトカラー・エグゼンプションの導入は、日本の雇用制度を見直す一歩となる。ただ厚労省は同日の会議で制度導入こそ容認したものの大幅な見直しには慎重だ。対象者を制限すれば規制緩和の効果が発揮できない可能性がある。
 制度設計の焦点は年収による線引きだ。田村憲久厚労相は対象を「成果をはかりやすい高収入の専門職」とした。競争力会議の民間議員は年収1000万円以上とする案を4月に出したが、厚労省内にはさらに高収入の雇用者に限る声がある。
 対象の職種も焦点だ。厚労省は研究者や金融のディーラーら「世界レベルの高度専門職」を念頭におく。民間議員は商品企画や海外事業のリーダーら管理職手前の人材にも広げるよう求める。
 米国ではホワイトカラー・エグゼンプションの対象は雇用者の2割。日本も07年に「年収900万円以上の管理職手前の社員」とする制度を検討したが、その場合でも対象は約20万人と雇用者の1%未満だ。高度専門職に限ったり年収の基準を上げたりすれば制度が骨抜きになりかねない。
 成長戦略担当の甘利明経済財政・再生相は「厚労省案は限定的すぎる」と指摘する。厚労省は民間議員が求める管理職手前の人材は、深夜・休日の手当が残る裁量労働制の拡大で対応する考えで、制度を巡る溝は深い。
 
 ▼ホワイトカラー・エグゼンプション 
事務職(ホワイトカラー)を労働時間規制の適用除外(エグゼンプション)とすること。1日8時間といった労働時間の規制を取り払い、報酬を成果に応じて決める仕組み。長く働いても残業代などは出ないが、1日8時間未満の労働でも構わない。忙しい時期は時間や場所を選ばず働き、仕事が一段落すれば長く休んだり早く帰宅したりメリハリをつけやすい。
 
 ▼裁量労働制 
実際の労働時間にかかわらず、労使で事前に決めた時間だけ働いたとみなす仕組み。10時間働くとみなせば、2時間分の残業代が基本給に上乗せされる。デザイナーなど専門職や企画・調査職が対象。ただ深夜や休日に働いた労働者には企業が割増賃金を払う必要がある。
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