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【パトライト / 生出】 賃上げ工夫、戦力アップ

(日経新聞 2014年6月16日)
 
 景況回復や安倍晋三政権の要請を背景に、大企業を中心に広がった賃上げムード。大手に比べ余力が乏しい中堅・中小企業にとり中長期のコスト上昇要因となる賃上げは容易ではない。消費増税に伴う社員の生活費負担を和らげつつ成長にどうつなげるのか。限られた原資の使い方に工夫を凝らした企業を追った。
 工場向けやセキュリティー用の回転灯を開発・製造するパトライト(大阪市、山本節次郎社長)は今春、約80人いる営業担当者の手当を従来の一律月4万円から、基本給に一定比率をかけて算出する方式に変えた。おおむね月4万円を最低ラインとしつつ、成果を上げた営業担当者では月6万円ほどに上がった。
 基本給は営業成績に基づき計算する。「実績があるほど基本給が上がり営業手当も増えることになる」(人事総務部)。新方式導入とあわせ、事業部ごとに採算管理する体制を敷き、貢献度合いを評価に取り入れた。
 採算度外視で受注しても事業部の収益は上がらないが、目先は赤字でも将来の大口取引に育つ可能性がある――。全社を挙げて販路を開拓するなか、個々の営業現場で採算やマネジメントの意識を持つよう促す。ベースアップ(ベア)ではないが、手当で社員の賃上げ期待に応え、経営効率も高める狙いだ。
 精密機器や自動車部品の運送・保管に使う緩衝材や包装材を手がける生出(おいづる、東京都瑞穂町)は7年ぶりのベアを4月に実施した。明確な定昇制度はなく例年は賞与で調整してきたが、社員平均で1%引き上げた。パートタイマーの賃金も今秋に上げる。
 約60人の従業員に生出治社長が期待しているのは「全員参加意識」の醸成だ。賃金改定を機に「新分野で成長する意識を共有したい」と話す。
 同社は食品業界を主な顧客層に据え、環境に配慮した素材を使った消臭・抗菌効果の高い緩衝・包装材を開発中で、6~7人のメンバーが実用段階にこぎ着けた。商品化に向けた改良や生産工程の立案、市場調査には担当外の従業員にも広く参加してもらう考え。
 足元の業績は自動車や電機、医療機器業界との取引で比較的安定しているが、中長期の維持・拡大は難しい。「社員の生活費負担増を考えると2%上げたかったが、今は1%がぎりぎり」(生出社長)。全社が一丸となって新分野を開拓できれば、従業員に報いることも可能だと訴える。
 自動車や電機の生産工程で使う砥石やダイヤモンド工具を開発・製造する京浜工業所(東京・品川、内田由美子社長)は今年、十数年ぶりのベアに踏み切った。定期昇給と合わせた賃金改定は平均3.5%だが、特に40歳以下の社員は4.5%と手厚くした。内田亨副社長は「経営状態は楽ではないが、若い技能者を確保し育成するため魅力を高めたい」と語る。
 同社は単結晶のダイヤモンド原石を高精度に削り、工具に仕上げる熟練技能が強み。加工機の操縦技術や手作業の研削工程は熟練技能が必要で、数年前からベテランと若手が組になり伝承を進めている。今春は高校の新卒1人が入社したが、来春は3人に増やすことも検討している。
 
         
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