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【伊藤忠商事 / リコー】 ダラダラ残業、一利なし 伊藤忠など削減から禁止へ

(日経新聞 2014年6月14日)
 
 政府の規制改革会議は13日、労働時間規制の見直しを含む改革策の答申を安倍晋三首相に提出した。政府は成長戦略に、働く時間ではなく成果に応じて賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入する方針だ。効率よく働く人が増えると期待される半面、働き過ぎにつながるとの懸念もくすぶる。効率よい働き方をどう実現するか。「ダラダラ残業」をなくす働き方改革に動き始めた企業の現場を追った。
 
 「今日は帰ります」。リコーの研究開発拠点「リコーテクノロジーセンター」(神奈川県海老名市)では、午後3時半を迎えるとあちこちで社員が帰り支度を始める。
 
■全社員が対象
 
 これを可能にしたのが、リコーが4月に導入した新フレックス勤務制度だ。中心時間帯を午前9時~午後3時半とし、その前後は個人の都合で調整できる。単なるフレックスではない。約1万人の社員を対象に午後8時~午前8時までの勤務を「原則禁止」にした。
 残業禁止にしたのは過去の教訓がある。2009年まで続けた前回のフレックス制の際はダラダラと夜に残る社員が多かった。今回も上司が許可すれば残業はできるが、坂田誠二常務執行役員は「メリハリのある効率的な働き方を実践し、自己啓発や家族との時間に費やしてほしい」と話す。
 
 残業禁止で口火を切ったのは伊藤忠商事だ。昨年10月、夜8時以降の残業を原則禁止する一方、午前5時~9時の早朝の時間外手当の割増率を25%から50%に上げた。
 効果はすぐ現れた。半年間の実績を前年と比べると、夜8時以降の残業者の比率は30%から7%に減少。10時以降はゼロになった。午前8時前の早朝出勤者は20%から34%に増えたが、深夜の残業が減った効果が大きく経費も4%削減。5月に正式導入に踏み切った。
 副次的な効果もある。早朝出勤で「1日の仕事の流れを把握しやすくなった」(男性社員)。岡藤正広社長は「顧客よりも早く来て迎えることで信頼関係が生まれる」と社内外のコミュニケーションが高まると強調。グループ会社にも順次取り組みを広げている。
 納期の関係で一時的に仕事が集中しがちなIT業界も見直しに動く。
 住友商事系のSCSKは昨春、全社員を対象に月の残業時間を20時間以内に減らし、有給休暇を年20日取得する目標を掲げた。「IT業界は人が財産と言うが本気で取り組んでいない」(中井戸信英会長兼最高経営責任者)と考えたためだ。
 
■賞与で還元
 
 特徴は残業を減らすと賞与が増える仕組みにしたことだ。残業代を減らした分はそのまま14年6月の賞与で還元する。しかも部署ごとに目標を設け、達成度に応じて最高12万円を支給する。部門全員で残業を減らすインセンティブを与えた。
 結局、13年度は月平均1人4時間残業が減って22時間になった。今年度はさらに削減を目指す。システム開発は労働集約の側面が強いが、労働時間を減らしながら業績を伸ばす原動力となった。
 とはいえ課題もある。残業削減を無理に進めれば社員への負担はむしろ増しかねない。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は昨年12月に親会社同様の残業禁止の取り組みを試験的に導入したところ、4月末までで1カ月の残業時間が平均10時間減った。菊地哲社長は「目的とした働き方の意識改革は前進したが、隠れ残業などが無いか調べる」と話す。
 「時間に見合った仕事量や内容となっているか上司が把握する必要がある」。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢島洋子・女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室室長は指摘する。景気回復で仕事量が増える中、働き方改革で生産性を高められるか。労使の知恵が試される。
 
         
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