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【星野リゾート】 1人4役マルチに担う 質の向上と効率化両立

(日経産業新聞 2013年8月20日)

 全国で旅館やホテルを運営する星野リゾート (長野県軽井沢町)は、宿泊施設で働く社員が1人で複数の業務を担う「マルチタスク」の手法を実践している。どのスタッフが応対しても質の高いサービスができるよう、社員間の引き継ぎを密にする独自の仕組みを構築。業務の効率化とともに、宿泊客の満足度向上にも役立てている。
 軽井沢町の高級旅館「星のや軽井沢」。「サービスチーム」と呼ぶ主力の業務に従事する約60人の従業員は受付と客室清掃、レストランのホールスタッフ、スパや調理の補助といった4つの仕事を兼務する。1つの業務に専念させることが多い他の高級ホテル、旅館に比べると、同社の取り組みは異例だ。
 鹿嶋理瑛さん(26)はチームに所属する1人だ。この日は清掃を終えた後、新たに来る宿泊客を部屋へ案内する業務をこなし、その後は配膳も手掛けた。「全ての業務を覚えないといけないので大変」と話しつつ、「灰皿が1日でいっぱいになった部屋には次の日は2つ置くなどといった工夫をしている」という。
 「複数の業務を受け持つごとで、全体の仕事の流れがわかるようになり、サービスの質が高まる」と、同チームの責任者も兼ねる本多薫副支配人は効用を語る。例えば、受付で対応した宿泊客が小さい子供のいる家族連れだった場合、「普段清掃で客室をよく見ているので、段差に枕を置いて危なくないようにするなどの対応がすぐできる」
 きめ細かな対応を支えているのが、「つなげる」と呼ぶ業務間の連絡を密にする担当だ。宿泊客1組ごとに宿泊日数や要望、以前宿泊したときの様子などを督き込んだシートを用意。それにチーム員がその都度対応内容を書き込み、「つなげる」担当者を中心に情報共有しているのだ。
 前身の星野温泉ホテルから「星のや軽井沢」に移行する2005年の前から星野佳路社長が主導し、同社ではマルチタスクの手法を少しずつ採り入れてきた。今では全施設でマルチタスクを徹底している。東京の本部に各施設の業務効率を定期的にチェックする部署を置くなど、独自の仕組みを作り上げた。
 受付や配膳など各業務にはそれぞれ繁閑がある。空いた時間に別の業務に取り組めば、業務全般を効率的に運用することができるというのだ。このため、「星のや軽井沢」ではマルチタスクを本格導入する前と後では、1人当たりの労働時間数が月に10時間程度減少したという。外部委託が一般的な客室清掃もほぼ正社員で構成する同チームが全体の3割をこなし、残りはパートなどで対応。コスト削減にもつながっているという。
 研修は入社時に1年間、全国の施設で実際に仕事しながら受けるほか、「星のや軽井沢」ではマルチタスクの業務について配属時に職場内訓練(OJT)を中心とした1人当たり90時間の研修を行う。4つの業務ごとに規定の技術や知識を身につけないと、研修に"合格"できない。
 化粧品メーカーを経て、星野リゾートに移った菊池昌枝総支配人は「従業員には『60%の満足度と40%の効率』を意識するように話している」と語る。「お客様第一で考えながら、一人ひとりが経営の視点を持つことがこれから求められる働き方だ」と菊池氏は言い切る。
 
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