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【高砂香料工業】 研究・調達で第一線続行 若手にじっくり知識伝承

(日経産業新聞 2013年6月27日)
 
 高砂香料工業は再雇用した60歳以上の社員を研究職や購買部の第一線に登用している。原料調達や香料の開発には専門知識や高い技能が必要。シニア社員のスキルが会社の強さに直結するからだ。定年前に再就職後の希望を聞き取る機会を2回設けるなど、きめ細かい態勢を整備したことで、定年を迎えた社員の85%が再雇用の道を選ぶ。
 2012年10月に再雇用された購買部の甲斐荘龍夫さん(60)は中国や米国など海外の購買拠点から届くメールをチェックし返信するのが日課だ。飲料や菓子など加工食品のフレーバーから、香水や化粧品などの香り成分まで幅広く扱う同社は、グローバルに原料を調達している。天然素材は約6000、化学合成品は約500種類存在する。品目ごとに世界各地の最適調達地を把握する作業は、まさに経験が物を言う。
 調達の最前線に立つ甲斐荘さんは「これまでの人脈を生かし、やりがいがある仕事ができている」と語る。肩書は定年前と同じ「専任副部長」だ。
 高砂香料では再雇用したシニア社員も会社を支える人材と位置付け、実務を引き続き任せている。1989年に中途入社した甲斐荘さんは購買、研究部門などを歩んだキャリアから、原料調達に関する海外拠点との調整という重要な仕事を受け持つようになった。厚生年金の支給開始時期の引き上げが段階的に始まった01年度に、60歳の定年を迎えた社員を「特別勤務員」として再雇用する制度を導入した。契約は1年更新で最長で65歳まで働ける。58歳と59歳の時に定年後の業務について希望を聞き取る体制を整備した。
 週5日のフルタイム勤務が原則だが、社員の要望に応じて週3回などでも働ける。基本給はフルタイムで月約23万円。企業年金などと足すと、現役時代の約6~7割の給与が保証され、1年契約を更新することに30万円の退職金が加算される。65歳以降もパートとして働く制度も整えた。
 残業などはなくなるが、キャリアを生かした実務を担うシニア社員が大半だ。例えば全社員の3割を占める研究員の場合、定年後も同じ研究を続けることが多い。
 数千種類もの素材を混ぜて新しい香料を作る「パフューマー」と呼ばれる専門職などは、1人前になるのに最低10年かかる。微妙な調合の経験がものを言うためで、再雇用後のシニアが若手や中堅に交じって新製品の開発などに掬わる。
 そうした環境の中で後を継ぐ社員が見つかった場合、1~2年かけてシニアがその蓄積を後継者に伝える。人事総務部専任部長の関田真一さんは「シニア人材の活用には、当社が持つ技術や知識を途絶えさせず段階的に次世代につなぐ意味もある」と説明する。
 シニア社員は"知恵袋"として日々の若手教育も担当する。甲斐荘さんは約5年前、ミント原料を調達しようとインド北部の悪路を車で5~6時間走り、目的の工場を訪れた経験がある。「いい原料が見付かり、国内より2~3割安く調達できた」と振り返る。こうした経験を耳にするうちに海外での原料調達に関心を高める若手もいるという。
 特別勤務員として働くシニアは現在約60人で、1000人強の本体社員に占める割合は決して少なくない。関田専任部長は「シニア人材が十分に活躍する環境を今後も整えたい」と意気込みを見せる。
 
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