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【電通】 先輩指導役、心構え伝授 独り立ち後も絆は深く

(日経産業新聞 2013年3月8日)
 
 電通が若手人材を育てるプロセスで最重要視しているのが、「リーダー・サブリーダー制度」だ。入社直後の集合研修で新入社員を8~9人で構成する班に分けて、指導役の先輩社員が「電通人」としての心構えを約2カ月間、教え込む。研修を通じて培われたリーダーらとの関係は新入社員が独り立ちした後も続き、社内での結びつきを強めている。
 人事局勤務で入社2年目の大関海平氏は「研修は夜にこそ学ぶ機会があった」と新人時代を振り返る。サブリーダーが広告制作プロダクションのスタッフと懇談できる場を設けてくれたのだ。入社直後は「学生と社会人のはざまでフワフワした感覚」だった大関氏は研修を通じて「どんな会社なのかが見えてきた」。
 昼間の研修でサブリーダーが手掛けるキャンペーンの概要を教えてもらっていたが、具体的なイメージはつかみきれなかった。夜に酒を酌み交わしながら、実際に現場でプロジェクトを動かしているプロ集団の話を聞くことができた収穫は大きかった。企業のプロモーション手法に関する新しいアイデアを語る先輩たち。大関氏は「思いつきのアイデアではなく、(プロモーションの形に)実現できる力が問われている」と感じた。
 リーダー・サブリーダー制度は1965年にスタートした伝統的な研修の仕組みだ。部長になる手前の社員がリーダーを務め、入社8年目前後のサブリーダーと共に新入社員を指導する。200人ほどの新人を24班に分けるが、「似たような性格の人材が偏らないように配慮して編成する」(人事局の安藤洋次・育成1部長)工夫も凝らす。
 研修内容はリーダーらが考え、新入社員に人脈の作り方、コミュニケーション能力の大切さなどを伝える。研修後に班のメンバーは散り散りになるが、リーダーが部長に昇進する時期など再び集まる機会も多い。新人時代のリーダーは「上司に言えない悩みも相談できる上司とは別の温かい存在」(育成1部の朝光剛氏)と映っている。
 集合研修の後、新入社員を待ち受けるのが夏の「電通富士登山」だ。初代の光永星郎社長が1925年に始めた恒例行事で、今年で86回目。グループ全体で新人など約500人が参加。山小屋に宿泊して早朝に山頂を目指すが、天候にも左右されるため、全員が朝日を拝めるわけではない。
 毎年、7月には社内では「今年は富士山の頂上で、ご来光を拝めたのか」が話題になる。新人時代を振り返り大関氏は「研修で一緒だった班の仲間と励まし合い、頂上にたどり着けた」と仲間との絆を強調する。
 同社の若手教育には伝統行事が多いが、それだけに「今どきの若者」の傾向が顕著に見える場合がある。安藤部長は「頭が良いなと感じる者は多い。課題を与えれば、しっかりこなす。ただ、受け身の姿勢になっていないかが気になる」と話す。
 顧客の広告主企業から与えられた課題に「答えを出しました」だけでは不十分。顧客とウィン・ウィンの関係を築き、利益を確保できる形を具体化させなければ一人前の「電通人」とは認められない。電通の伝統的な人材育成ノウハウが受け身になりがちな若手を鍛える仕組みとして有効なのか、真価は日々問われている。
 
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