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【きちり】 新人だけで居酒屋運営 失敗体験、行動力引き出す

(日経産業新聞 2013年1月11日)
 
 洋風居酒屋「KICHIRI」を運営するきちりが独自の新人教育で成果を上げている。大阪市内に新入社員だけで運営する居酒屋を9カ月設置。メニューなど店舗に関する一切を仕切らせた。自ら考えて行動する力を引き出すのが狙いだ。わずか3カ月で店長に昇進する人材を輩出できたうえ、退職者を一人も出さなかったという。
 2012年4月上旬の夜、大阪市内で開かれたきちりの入社式は、一般的な式とひと味違っていた。大阪の繁華街・北新地の一角にある居酒屋の2階に、9人の新入社員がエプロン姿でズラリ。先輩社員だけでなく新人の家族も同席し、和気あいあいとした雰囲気のなか、平川昌紀社長が一人ひとりに辞令を手渡していった。
 「ここまでよくこぎ着けたと思います。でも本番は明日からだから気を引き締めて」――。平川社長の言葉に緊張する新人たち。自らのあいさつでは得意のギター演奏を披露したり、「これまで育ててくれてありがとう」と感謝しながら親とともに号泣したりするなど、涙あり笑いありの入社式となった。
 実はこの日の夕方、新人たちは1階で先輩や家族を居酒屋「新卒ダイニングルーキーズ」の最初の客として迎えていた。エプロン姿だったのはそのためだ。調理・接客はもちろん、帳簿付けからメニューの考案まで店舗運営に関わるすべてを新人だけで仕切った。
 きちりがルーキーズの計画を関西エリア採用の9人に伝えたのは入社前の12年2月。彼らは1カ月ほどの準備期間で「おっちゃんたちのディズニーランド」というコンセプトを考案し、メニューの価格や内装などを詰めていった。
 助言役だった出口健一・営業統括本部ゼネラルマネージャーは「開店してからもああしろこうしろといった指示は一切出さなかった」と振り返る。失敗しても答えは教えず、ヒントだけにとどめる――。そんな指導の背景には、平川社長の「思い切って失敗できる環境で育てたい」との考えがある。
 きちりの新人教育は従来、ほかの外食産業と同じように座学などの研修を重ね、その後、店舗に配属されて店長の指示下で働くという職場内訓練(OJT)型だった。ただ、指示を待つだけやミスを恐れて積極的に動かなかったりする新人が後を絶たなかったという。
 ルーキーズは「店舗運営の道場」だ。新人にあえて失敗を体験させ、自ら考えて行動するきっかけを与える。現場で必要な知識・ノウハウだけでなく、売り上げ目標を達成するための集客策なども問われるため「成長スピードは格段に速くなった」(出口氏)。
 実際、ルーキーズに参加した新人の1人が入社3カ月というスピードで店長に抜てきされ、これまで1年だった新卒からの昇格最短記録を大幅に塗り替えた。また、同期の結束が強まり、例年は数人いた退職者も現在はゼロとなっている。昨年12月末にルーキーズはいったん閉店としたが、今後は重点出店地域と位置付ける関東での展開も検討するとしている。
 
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